バランスドアーマチュアの全貌!徹底解説
バランスドアーマチュア型、バランスドアーマチュアドライバー、
BAドライバーなどイヤホンに興味のある方なら、
一度は耳にしたことのあるこの言葉、最初から順を追って徹底的に解説していきます。
もう知ってるよって方も豆知識の補充に、復習がてら読んで頂けたら嬉しいです。
目次
バランスドアーマチュアとは?
大まかにいうとイヤホンの中で音を出しているパーツの種類のことです。
イヤホンはオーディオプレーヤーから受けた電気信号を、空気の振動に変換して音を再生しています。
その変換を担っているのがドライバー、音を出しているイヤホンの中身の部分です。
一昔前まではダイナミック・ドライバーと呼ばれる、スピーカーの仕組みに近いものが多く使用されていましたが、
最近はこのバランスド・アーマチュア・ドライバーと呼ばれる種類のものが多く普及し始めています。
またダイナミックとバランスド・アーマチュアの両方を搭載したものもあるようです。
なぜこんなに呼びにくい名前なのか?
調べても名前の起源は分かりませんでしたが、直訳すると平衡極子とのこと。
勝手な解釈ですが、平衡極子→バランスのとれた極→安定した振動板といったところでしょうか?
振動板が揺れる仕組みのことを考えると何となく納得がいきますね。
でも、かなり長く呼びにくいのでBA(Balanced Armature)ドライバーという呼び名が定着する方が個人的には嬉しいです。
バランスドアーマチュアの外観
ずばり写真のような穴が開いた金属の小さな箱。
サイズは5mm~10mm角程度のものです。
それ自体が小さなイヤホン?といった感じで薄っすら高級感すら漂っています。
実は振動する薄い板を金属ケースに閉じ込めてあり、写真手前に見える筒状の出口から音を取り出しているのです。
この小さなパーツから、大きな音が出るとは驚きですね。
バランスドアーマチュアの断面写真
出典:https://twitter.com/kindo3/status/582030106375413760
バランスド・アーマチュア・ドライバーを五右衛門の如く真っ二つにしている猛者がおられました。
特注イヤホン、カスタムIEMの老舗FIT EAR(須山補聴器)の方のようです。
上の隙間に薄めの板があるのが分かるでしょうか、その部分が震えて音を出している部分ですね。
銅のような色をしている部分は信号が流れるコイルです。
リンクのコメントにもありましたが、ケースの金属は分厚く頑丈そうな作りです。
バランスド・アーマチュアの仕組み
まずオーディオプレーヤーなどからの信号を端子から入力し、その信号がコイルへと流れます。
コイルは信号つまりは電気が流れ、磁石の磁力があるので、子供のころ習ったフレミングの法則に従い力を発生させます。
その力の影響を受けコイルの芯であるアーマチュアが振動し、ドライブロッドを伝って振動板(ダイアフラム)もまた振動します。
振動は空気を介し音へと変わり、その音がスパウトという出口の穴から排出されます。
構造は違いますが、ダイナミックドライバーも、コイルと磁石そして振動板を使っているので、”全く異なるもの”では無いのかもしれません。
開発・製造会社
カスタムIEMや一部イヤホンはデンマークのSONION社製 やアメリカのKNOWLES社製を多く採用しているようです。
ちなみに一番上の外観の写真はこの2社のものです。
会社によって少しデザインが違うものもあり、それぞれの工夫が見えます。
開発、製造の難易度が高いそうですが、他にも自社生産をしている会社が出てきています。
韓国のiSound社(MUIX)やEARNiNEなどのブランド、日本も負けていません、SONYと日本モレックスから独立したFinal Audio Designが自社製造しています。
バランスドアーマチュアは人気も高く、メーカーにとっても需要があるので今後も参入してくる会社に期待です。
肝心の音質は?
以前の記事でも書きましたが、言わずと知れたUltimate EarsのTriple.Fi 10proで、私はバランスドアーマチュアと出会いました。
第一印象は従来のイヤホンとは全く異なるもので、音の質感が素晴らしいと思いました。
ただこれは、私にとって10proが良かっただけだと、今は思っています。
バランスドアーマチュアは元々、補聴器に使われていたこともあり広帯域で明瞭な特性を持っています。
ですが、最近出てくる搭載のイヤホンを聞くと多種多様な音のものがあります。
実際どれがダイナミックか、バランスドアーマチュアかは、はっきり当てられないです。(僕は)
これは一概にバランスドアーマチュアといっても技術の発展で、色々な特性を持ったものが製造されるようになったからのようです。
ただ解像度の高さは特徴として共通しているのかなと、個人的には思います。
なのでバランスドアーマチュアという言葉にとらわれず、今まで通り試聴を繰り返し気に入ったものを購入するのが良いのかもしれません。
最後に
最後までお読み下さり、ありがとうございます。
今後もオーディオ関連のより品質の高い記事を書かせて頂きます。
買ったり、試聴する前の参考になる機器の詳細分析や、音質比較記事を頑張って進めていきますのでよろしくお願い致します。
理論的に解りやすく、勉強になりました。補聴器から得た技術が取り入れられていたとは面白い、これからどのように発展していくか楽しみです。御説明ありがとうございました。
簡潔、的確なご説明有り難うございます。私は数種類の違う発音体のカナルフォンを聴いただけですが、仰るように一般的にはBAは解像度が優秀だが音色的にはまあまあ、ダイナミックはバスドラ等のベース楽器の再現がBAより優れており、音色的な特色も良く出る感じがします。Fiioなどのハイブリッド(中高音BA、バスD)は、この両者の良いとこ取りをねらっている音ですが、解像度を欲張っていないゼンハイザーのダイナミック型と比べて、簡単により良いなどと言えない所がオーディオの面白い点ですね。
(純BAのシュアーもモニター基調ながら上手な音作りをしていますしね。)